栃木京福会

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活動報告

2026.05.28

第55回 だいじだねット会議 ~那須塩原市の地域包括支援センターあぐり~

令和8年4月28日、だいじだねット会議を開催しました。
ゴールデンウィーク前のお忙しい時期にも関わらず、多くの皆さまにご参加いただきありがとうございました。
だいじだねット会議は、「誰もが一緒に、自分のことだと思って考えれば大丈夫だね」を合言葉に、地域のさまざまな立場の方が集まり、支援の現場で起きている“もやもや”や“困りごと”を持ち寄って考える場です。会議では、参加者同士がお互いを否定せず、各機関の事情も想像しながら対話することを大切にしています。また、事例は個人が特定されない形で共有し、会議外で話題にしないなど、守秘にも配慮して進めています。

デイサービス送迎時の転倒事故から考える「責任」と「多職種連携」
今回のだいじだねット会議では、デイサービス送迎時に起きた転倒事故を題材に、参加者全員で深く考える時間となりました。

まず会議の冒頭で、全員がしっかりと共有した大切な前提があります。
この検討は、決して「誰が悪いか(犯人探し)」を決めるためのものではない。
この視点を土台に、事故を“責める材料”ではなく“学びの材料”として扱い、建設的な議論が進んでいきました。

■ 事例の概要
夕方の送迎時、利用者Aさんが自宅玄関先で足を滑らせて転倒し、支えようとした介護職員も巻き込まれて一緒に倒れてしまいました。

Aさん:軽い打撲
職員:手首を痛め、数日間業務に支障
玄関先には段差があり、以前から危険性を把握していた
手すりの必要性や介助の強化についてケアマネジャーに報告済みであった
当日は職員2名で声かけを強化していた

事故後、家族からは
「ちゃんと支えなかったのでは」「危険と分かっていたのに、なぜ対応しなかったのか」と、事業所側の過失を問う声も上がりました。
■ 心情面で“責任を感じてしまう”のは誰か
犯人探しではなく、それぞれの立場で、どんな気持ちを抱えやすいのかを話合いました。

● 介護職員
「自分のせいで怪我をさせた」と深く自責しやすく、これが離職理由の上位にあるという現実も共有されました。

● デイサービス管理者
「もっと強く提案できたのでは」「他職種と違うアプローチができたのでは」との後悔。

● ケアマネジャー
住宅改修や福祉用具の提案をもっと強く働きかけるべきだったという思いと、家族の事情で進まない現実とのジレンマ。

● 医療・薬剤師
薬の副作用や生活環境の危険に気づく立場として、もっと情報共有できたのではという視点。

● 利用者・家族
利用者は「職員さんに怪我をさせてしまった」と申し訳なさを抱き、家族は「もっと真剣に聞いていれば」と悔やむ可能性も。

事故は一瞬でも、『心の中の責任は多くの人が背負ってしまう』という現場のリアルが浮かび上がりました。

■ 制度面で“責任を問われる”のは誰か
心情とは別に、制度上の責任や現実的な対応についても共有しました。
送迎中の自宅敷地内での事故であるため、事業所管理者が家族対応の中心となる
場合によってはケアマネジャーに責任が向くこともある
事故報告書は“罰ゲーム”ではなく、事業所を守るための大切な記録である
事故報告書の捉え方を変えることは、現場を守る大きな力になるという意見が多く出ました。
  • ■ 今回の検討から見えた課題 議論を通じて、今後の地域介護に必要な視点が明確になりました。 ① 「点」から「面」への多職種連携 デイサービスとケアマネだけでは限界がある。 福祉用具専門相談員、薬剤師、医療職などが“面”となってリスクを拾い、ケアマネに集約する仕組みが必要。

  • ② 介護職員を守る仕組みづくり 欧州における「15㎏以上の負荷をかける介護の禁止(ノーリフティングポリシー)」のような法整備がない日本では、職員の身体的負担が大きいまま。事故を個人の責任にせず、環境整備や福祉用具活用に力を入れる組織風土が求められる。

  • ③ 日頃からの関係性づくり すべての事故を防ぐことは不可能。だからこそ、普段からの信頼関係が最大の防衛線になる。 ■ おわりに 今回の会議は、事故の振り返りにとどまらず、「現場の自責を軽くし、組織としてどう守るか」を多職種で考える貴重な機会となりました。

  • そして何より“犯人探しではなく、未来の事故を減らすための学びにする”という姿勢が、会議全体を通して一貫していたことが大きな価値だったと感じます。 地域で支え合うために、これからも多職種が“面”となって協働していくことの大切さを再確認する時間となりました。

  • ご参加いただいた皆さま、発表にご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。だいじだねット会議は今後も、こわくない(=無理をしない)範囲で、地域のつながりと学びを育てていきます。次回もぜひお気軽にご参加ください。