栃木京福会

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2025.11.24

第49回 だいじだねット会議 ~那須塩原市の地域包括支援センターあぐり~ 令和7年10月 だいじだねット会議レポート

~地域で安心して語り合える場を目指して~

先日10月28日、「だいじだねット会議」を開催しました。
今回取り上げたのは、ご夫婦の間で起きた難しい事例でした。奥さんが被害妄想からご主人を叩いてしまい、デイケアで体の痣が見つかったのです。その後、ご主人は「緊急一時保護」の制度を利用して施設に入所しましたが、奥さんは「もう叩かないから家に帰してほしい」と訴えています。

本当に帰してよいのか、どのような条件があれば安心できるのか――。
こうした課題に向き合うことは簡単ではありません。
今回は、この状況をどう考えればよいのかをグループに分かれて話し合いました。

グループワークでは、ご主人の「帰りたい/帰りたくない」という気持ちが揺れ動くことや、
奥さんが医療にきちんと繋がっているかどうかを確認する必要があるといった意見が出ました。
また、親族の協力や薬の管理なども大切であり、いきなり家に戻すのではなく段階的に外泊や短期帰宅から始める方法も検討すべきではないかという提案がありました。

最終的な判断は市の担当部署を中心に、多職種の関係者が集まって話し合うのが基本です。
一人の判断に任せるのではなく、支援に関わる人たちが力を合わせて方向性を考えることの大切さを改めて確認しました。
  • 後半の議論では、「虐待」という言葉の扱いについても話が広がりました。
    実際には報告しても「虐待」とは認定されないケースが多く、参加者からは「どう判断すべきか」という迷いが共有されました。

  • 会議では、まずは起きている行為そのものを見て判断し、その上でなぜそうなったのか、
    人間関係や家庭の事情を考えながら支援につなげることが大切だと確認されました。
    相手を責めるのではなく、「どうすれば安心して暮らせるか」を一緒に考える姿勢が必要だという意見も強調されました。

  • 今回の事例は、誰にとっても他人事ではない内容でした。
    高齢者本人の思い、介護する家族の思い、地域や行政の役割が複雑に重なり合う場面で、
    こうした「安心して語り合える場」があることの大切さを改めて感じました。

  • 最後に、「見かけたときにはためらわず通報してほしい」という呼びかけを共有しました。
    通報は誰かを責めるためではなく、早めに支援につなげるための行動です。
    小さな気づきが、地域全体の安心につながっていきます。

  • 次回は11月25日に開催します。テーマは「孤立死を避けるための『弔う』ことの意味」。
    一人暮らしの高齢者が地域とつながり続けるために、どんな寄り添いができるのかを一緒に考えていきます。


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